ゴムボート「釣り楽しいなー」遊漁船「ゴルアアアアアアア」


>>14
外航船の航海士をしています。

動画をループで見ました、私は海事補佐人の立場もありますので、その上での見解です。

非常に専門的な内容になりますので、興味のない方は長文を大変失礼致します。

①まず、双方共に動力船であり、漁ろうに従事している船舶ではありませんので、どちらが優先という事は全くありません。当然ですが、航行中の遊漁船は漁船優先の規定を受けることはありません。
②双方が20G/T未満である事から、港則法18条は適用されません。(最も、ここが港界の内側かどうか、この動画からは判断できません)
③港則法、安全法に適用される航法がないので、一般法である予防法が適用されます。
④この場合、動画の本船は停船しており、行き脚がないので、行き合い関係を生じる事はなく、衝突のおそれを生じさせているのは相手船という事になります。
⑤予防法8条にはこう記載されています『船舶は、他の船舶との衝突を避けるための動作をとる場合は、できる限り、十分に余裕のある時期に、船舶の運用上の適切な慣行に従つてためらわずにその動作をとらなければならない。』
⑥また同条3項には『船舶は、広い水域において針路の変更を行う場合においては、それにより新たに他の船舶に著しく接近することとならず、かつ、それが適切な時期に大幅に行われる限り、針路のみの変更が他の船舶に
著しく接近することを避けるための最も有効な動作となる場合があることを考慮しなければならない。』と記載されています。

以上を勘案すると、停船状態の本船に対して、存在を認識しながら衝突のおそれのあるコースを取り、余裕ある避航動作を取らなかったことは、予防法8条違反であり、また同法39条に定める所謂船員の常務にも反する行為であるという事になろうかと思います。

実は遊漁船は商船からも非常に危ない存在で、航路内でも平気で自分の漁場を譲ろうとはしません。
私たち大型船は、航路しか通航する事は許されていませんし、航路から逸脱する事は座礁などの危険を大幅に高める事となります。
彼らの言い訳は、漁船には優先規定があるのだ!というものですが、漁船優先の規定は漁業形態からして直ちに避航動作を取れないような漁船に限られるものであり、遊漁船のようにすぐに動く事の出来る船舶には適用されません。

私の乗っている船は危険物船なので、前方に針路警戒船がついています。
その船の船員に暴言を吐くという事も聞き、同じ船や海を仕事場としている者としてただただ情け無いばかりです。

海は自由利用が原則ですが、だからこそ船員の法律遵守と、シーマンシップのある対応は極めて重要です。

死亡事故になってからでは遅い、海難事故になってからでは、手遅れなのです。
私はこれまで海難犠牲者の声を2度聞きました。
また、犠牲者家族の話は数多く聞いています。

海はレジャー利用の方などにとって、もっと安全で、楽しい場所であるべきなのです。
規制規制で解決するのではなく、意識改革で海をもっと理想に近づけていきたい。

そう思いながら私はこの文章を書きました。

非常に長文となり申し訳ございません。

皆様のご安航を心よりお祈り申し上げます。

私は数日後に中東に旅立ちます。
海で会ったら手振って下さいね。
ではまた。

だそうや

Author: dmm

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