1:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします :2021/05/30(日) 02:06:41.614ID:8nPTtxfe0.net
勝手に昔語りさせてもらう
あれは俺が中学2年生の頃
俺は引っ込み思案で優等生な普通の男だった
友だちは多くなく、親友と呼べる奴は小学校から一緒だった小村(仮)しかいなかった
後々この小村は死ぬことになる
当時中学校に入学したばかりの俺たちは、入る部活を決める必要があった
小学校の本棚にあった「チームふたり」に影響された俺たちは、軽率にも卓球部に入ろうと思った
体験入部にて
先輩「グラウンド10周!」
小村「いやムリだろ、吹奏楽部いくべ楽そうだから」
俺「(小村がそう言うなら……)」
てな具合で吹奏楽部に入部することに決まった
だいたいわかると思うけど、そのころの俺はだいたい小村の金魚のフンだった
自分で行動する勇気なんてないイイコチャンだったから
それに対して小村は、はきはきしてるし話せば面白く人当たりもよく、運動は苦手だけど人気者だった
特に女友達が多くて、恋愛相談は彼の得意分野だった
今まで何組ものカップルが小村の手で生み出されていた
しばらくの部活体験期間があって、俺たちは持ち楽器を決められた
俺はバスクラリネット、小村はチューバという、男子には低音楽器やらせとけばいいだろみたいな悪習マシマシの割り当てだったが、まあその頃の俺に不満はなかった
なぜなら、低音楽器は低音パートで一括りにされるので、小村と同じ部屋で練習できるからだ
その部屋には、同じような理由で低音楽器を割り当てられた男の先輩の1人(仮に後藤とする)もいた
これは吹部あるあるなんだが、低音パートにはたいていの場合男子が集中する
男子は吹部では少数派の変人なので、低音パートは他の楽器のパートと比べて部の中で浮いた存在になりやすい
中学の低音パートはまさにそんな感じで、長編人の後藤先輩を筆頭格にイカれた女の先輩も数人いて、後藤先輩に会いにくるもう2人の男の先輩も頻繁に出入りしていたので、お世辞にも真面目に練習してるとは言い難いパートだった
ただ、そのぶんパートの中の人はみんな仲良しだったし、後藤先輩繋がりでもう2人の男先輩も低音パートになじんでいた
俺と小村も、ほどなくして先輩たちに気に入ってもらえた
小村はさっき言った通り話が上手いから、先輩たちにはすぐに面白がられてたし、俺は俺でどもりがちクソ陰キャなのが逆にウケて可愛がられた
中1の間は普通に安寧の期間だった
先輩とは仲良くなり、一緒に初詣に行ったりした
パートリーダーの女の先輩(変人ぞろいの低音パートで唯一の常識人だった)に勝手に片思いしたりもしたけど、別に告白するでもなく、後藤先輩と付き合ってる疑惑に身を振るわせたりした
吹部の同期で仲良くなった女の子がいて、小村と俺とその子でよく遊んだ
話に関係ないから詳しく書かないけど、その子はめっちゃメンヘラで自意識過剰のマセガキだったので、結局1年で絶交することになる
感動した!!!
映画化決定!!!
面白かった!>>1乙!
って何で俺くんが!?
イイハナシダッタナー
その子のエピソードを一個だけ書いとく
小村とその女の子(金森とする)を俺の家に呼んだときのこと
金森「つかれたねむい……(ソファで目をつぶる)」
俺「(生理か???)」
小村「……寝顔も可愛いねボソッ」
金森「……」
俺「(!?聞き間違いか?)」
~後日~
金森「小村くんキモい。生理的に無理になった」
俺「そ、そうなんだ」
金森「でも俺くんは優しいよね!好き!」
俺「(!?)」
当然クソ童貞だった俺はドキドキさせられた
とはいえ、さすがにこのメンヘラはダメだと本能が叫んでいた
というのも、この女は些細なことで急に男友達と絶交しだすのが1度や2度ではなかった
被害者ヅラして他の男の気を引く行為を繰り返していたことは、さすがの中坊ワイでも理解できた
まあこのときは小村もだいぶキモかったけど
適当に書いてくけど、先に言っとくと結構長いぞ
本題は中2以降
金森という女友達を失った俺は、小村の周りの女友達や男友達と適当に仲良くなっていた
そんなとき、うちの吹部に転校生がやってきた
彼女の名前を山下(仮)としよう
山下はファゴットを割り当てられ、俺や小村と同じく低音パートに入ってきた
1年生の段階で転校してきていて、人づてに小村とも仲良くなっていたらしい
俺は中2ではじめて山下とまともにしゃべるようになった
見てるからはよ完結させて
山下は、転勤族の家の子らしく真面目で人当たりのいい子だったけど、いわゆる天然ちゃんの気があった
普段はしっかりしてるのにたまにドジをやらかして、表情がコロコロ変わって、笑うときは鈴を転がしたみたいに笑った
素直に可愛い子だった
吹奏楽部のこと吹部ってマンガの中でしかみたことない
普通に吹部っていうの?
>>34
言うよ
少なくともうちでは中学も高校も言ってた
お前らそんなに長文読むのいやかよ
何とか短くまとめるけどさ
続きあくしろよ
めっちゃ気になる
深夜だしゆっくり書いてけ
そんで俺はお察しの通り山下に惚れた
山下と小村の2人とは、その後中2の間ずっと仲良く過ごした
下校の時に一緒に帰って、空き地で何時間もおしゃべりした
夏は薄暗くなるまで、冬は真っ暗な中で白い息吐きながら話してた
その頃、俺と小村は周りの奴らの恋愛事情の情報を収集して遊んでた
俺らも俺らでマセガキだったのかもしれない
小村は友達も多く、しかも吹部での女友達がめちゃめちゃ多かった
吹部の女ってのは友達の恋愛事情に関してよく知ってるし、口が軽い
小村は色恋沙汰の情報をどんどん仕入れてきて、どんどん俺に教えてくれた
俺らはいつも、森の木の上でそういう話をしてた
秘密基地気取りだったんだが、今考えると中二病だな
小村は面白くて人気者だった、とさっき書いたけど、実は小村は手放しの善人かというとそうではなかった
色恋の情報を手に入れては全部俺に横流しして、時には誰かと誰かが付き合うように裏で手を引いたり、逆に良からぬ画策もしていた
降られると分かってるやつに告白させて遊んだりしてた
当時小村がそういうことをしてると知っていたのは俺しかいない
まあ俺も一緒になって笑ってたから同罪だと思うけど、正直小村のそういう行動力には一種のカリスマを感じて爽快だった
とまあ話がそれたけど、俺は小村と山下と毎日一緒に下校してたわけよ
それはそれは幸せな期間だった
中学生の頃なんて、好きな子と毎日一緒に帰れて楽しく話せたらそれでほとんど全てだろ
俺は友人は多い方じゃなかったけど、それでも小村といれば楽しいし俺を引っ張っていってくれるし、とにかく友情に恋に充実した日々だった
そんな日々に違和感を感じ始めたのが、秋の初めの頃
小村と山下が俺を避けるようになっていた
あからさまに避けはしないが、2人でこそこそと過ごすようになった
小村に
「2人で何してんの?」
と聞いても、
「何でもないよ」
とか
「そのうちわかるって」
とか言われてごまかされた
俺は不安だった
不安というのは、当然2人が付き合ってるんじゃないかということ
小村は、別に美男ではないがリーダーシップがあって人を先導できる人間だし、山下が惚れる可能性は十分すぎるほどある
俺なんて小村のおこぼれで友だちを増やしてるだけだし、山下と仲良くできてるのも小村のおかげでしかない
俺の当時の友人で小村繋がりじゃないやつはほぼいなかった
だが、ある冬の夜に思ってもみなかった大事件が起きた
結論から言うと、俺が山下に告白された
いつもみたく3人一緒に帰っていた家路、いつもの空き地で暗くなるまで駄弁っていた
俺はその日、家に友達を待たせていたので、普段より早めに帰ろうとした
俺が帰ろうとすると、小村が
「ちょっと待てよ」
「まだいいだろ」
などと言って何度も引き留めてきた
その間山下はずっとうつむいて黙ってた
俺は、2人の間に何かある事がひしひし伝わってきて、段々イラついてきた
半ばキレるみたいにして本気で帰ろうと背を向けたら、
「好きなんだよ!!!」
と山下が叫んだ
「俺くんのことが!!!好きなんだよ!!!」
とていねいに主語まで補ってきやがった
俺は意味が分からず、とんでもない勢いで心拍数が増したせいで地面にぶっ倒れた
我ながら童貞すぎる反応だと思う
地面にぶっ倒れるってなんだよ
結局家に待たせている友人のことは完全に放置した
もう家に帰るどころではなかった
目の前の山下はとんでもなく赤い顔をしていたが、それは寒さのせいじゃなかった
俺の全身が激しく震えてたのも同様に寒さのせいじゃなかった
「で、どうなの?」
と、小村がニヤニヤ顔全開で聞いてきた
小村はやっぱり恋愛沙汰が好きなのだ
どうなの?とはもちろん、俺が山下と付き合うかどうかを聞いてるんだろう
もちろん答えは1択だ
なにしろ両想いなのだから
俺は山下に恋焦がれていたし、山下の声を聴くために生きていると思ってたし、毎日学校に行くのが楽しみで仕方なかったのは山下のおかげだから
なのだが、俺は答えを出しあぐねた
小村のにやけ顔に見つめられて、
「俺も山下が好きだ」
となぜか言えなくなっていた
本当にカスだと思うが、俺は山下が好きだということを小村に知られたくなかった
小村に知られたくなかったというより、俺は当時誰かのことを好きになるということが恥ずかしくて仕方なかった
告白なんてしたことはない
するつもりもない
告白されたのも初めて、生粋の童貞だった
>>94
この経験俺もあるわ
ずっと後悔してる
思い返すと俺もそこの選択で人生変わった気がするな
切ねえな
結局その日のうちに答えを出せず、俺は帰り道で小村にめちゃくちゃ説得された
山下と付き合ってやるように強く言われた
そこで俺は、小村も山下が好きだったことを初めて知った
いわく、小村は数か月前に山下に告白していたらしい
他に好きな人がいるから、と断られ、それが俺だと分かり、小村は山下が俺とくっつくように協力をしていたらしい
そのための作戦会議を2人でしていたのだった
見てる
風邪引くからはよ
>>101
パンツはけ
小村は笑いながら話していたけど、つまり自分が好きだった女を親友である俺とくっつけようとしていたということだ
そんなのだいぶショックなんじゃないか?と聞いたけど、
「俺はもうあきらめてるから気にするなよ」
とあくまで笑いながら小村は言った
俺も彼に説得されて、山下と付き合う覚悟を決めていた
1週間後、俺はいつもの駐車場で山下に返答を伝えた
そばで小村も見ていた
「申し訳ないが、僕は君と付き合えない」
こころと同じ展開
俺は結局、自分の中の矮小な自意識に勝てなかった
死ぬほど好きだった山下と付き合って、それで自分がどうすればいいのか、全く想像がつかなかった
風呂に入りながら未来を考えて、怖くなって、小村にもらった励ましも、山下の乞うような瞳も忘れてしまった
大方予想は付いてるだろうけど、この2択を間違ったせいで5年後に小村は自殺します
駐車場には死んだような空気が流れて、それでも俺はよく分からない達成感を感じて晴れ晴れしていた
山下は無表情にうつむいて、小村は戸惑いの顔を浮かべていた
ふいに山下が、
「そっか……。じゃあ、私も爆弾発言するね」
と言った
自分で自分の発言を爆弾発言とは言わんだろ、と思いつつ、そういう天然なとこが可愛いんだよな、と思った
「私、2週間後に東京に引っ越すの」
俺は顔が引きつった
よりによって引っ越し先が東京とか、マンガの読みすぎだろ?と思ったし、俺に告白してきたのも転校前のけじめだったんだな、と思って合点がいったけど、なにより現実感がなくて唖然とした
小村も唖然としていた
山下は憑き物が落ちたような顔をしていた
沈黙を破ったのは小村だった
「じゃあ、たくさん思い出作っとかないとな」
なんてキザなセリフがいかにも小村らしかった
小村のおかげで最後の2週間は充実していた
たくさん思い出ができた
だが、俺は早くも後悔し始めていた
俺は、山下を振ればこの先もずっと彼女と楽しくいつも通りの日々を過ごせると思っていた
誰も傷つかず、もちろん俺が一番傷つかず、何も変わらずに過ごせると思った
でも、結果として山下がいなくなってしまうなら、俺が彼女を振った意味は何だろうと思った
夜に一人で泣いたりした
今思うと自分勝手すぎる涙だけど
最後の日の朝、俺は車で発つ山下を見送りに行った
彼女のアパートには引っ越しトラックがたくさん来ていて、本当にいなくなるんだと思って心臓がどきんとした
ジャージ姿で朝日に照らされる山下の姿が、この期に及んで恋しすぎてどうにかなりそうだった
こうしてあっけなく東京に行ってしまった山下だが、俺はその朝に小村が見送りに来ていないことを妙に思った
5年後て
朝の吹部の練習で、女友達に聞いてみた
「小村が来てなかったんだけど、何かあったのか?」
「なんかね、昨日小村が山下とメールで喧嘩したらしいよ」
詳しく聞くと、小村が山下にいきなりこんなメールを送ったらしい
「ごめん俺やっぱり山下が好きだ
お前が俺を好きじゃないのは分かってるけど
こんな気持ち悪い奴でごめん」
山下としては、小村を気持ち悪いなんて思っていない
メールのやり取りをするうちに、自虐的な態度を取り続ける小村に山下が愛想をつかしてしまったらしい
引っ越しトラックがたくさんて
多くて2台ぐらいじゃね
>>128
もう7年近く前だから思い出補正かかってるかも
俺はとりあえず死にたくなった
小村の言った
「俺はもうあきらめてるから気にするなよ」
という言葉を、俺は信じてしまっていたからだ
そう簡単に諦められるわけなんてないのに
俺は小村の目の前で山下の気持ちを拒絶した
それを小村がどう思っているかは、それからほどなくして分かることになる
ある日、吹部の女からこんなことを言われた
「小村、あんたのこと嫌ってるよ。こんなメール送ってきて正直キモいと思う」
そのメールは原文あるから載せる
↓↓
「6月に好きな人ができたとおもったら
早速その人に好きな人を聞かれて
瞬刹玉砕…
んで
なぜかその人の恋を応援するはめになって
応援してるうちにたま好きになっちゃって
そんなことも
露知らず
あいつはオレに恋ばなしてきて
いろいろ要望してきてさぁ
しまいにゃ
オレの真ん前でコクりやがった
辛いこの上なかった
それなのに>>1は
オレに相談してくるしよぉ
オレだって
好きな人に幸せになって欲しいから
>>1を二時間もかけて
説得したってのに
あいつもオレの真ん前で振りやがった
そして
衝撃に浸る間もなく
重大発表
まさかの「引っ越し」!
心ズタボロやぁ
んでmailでコクるも
それ以来犬猿の仲…
新しい恋をしても
嫌いを理由に
すぐ失恋…
まぁなんやかんやで
恋に疲れた」
このメールを見て、俺はマジで死にたくなった
小村に怒りなんてわかず、ただただ申し訳なかった
その頃学校では、俺と小村は普通を装って接していただけに余計辛かった
「新しい恋をしても嫌いを理由にすぐ失恋…」
という部分に関してはよく意味が分からなかったが、この意味は小村の葬式で判明する
こういうわけで、中2の半ばで小村とは心理的絶交状態になった
だが、それ以上に辛かったのは転校してしまった山下とのメールだった
山下は、東京の新しい中学校でよく分からんDQN男に絡まれているらしかった
無理やり手を繋がれたり、乱暴に構われたり、東京のことを聞いてもいないのに教えられたり
最初はその愚痴をよく聞いていたが、メールの文面にDQNの名前が段々増えていき、しまいには毎日のように彼の話をするようになった
ある時、
「ダメだとはわかってるけど、……好きかも知れない」
とメールに書かれているのを呼んだとき、俺は即座にケータイを床に投げ捨てて布団に顔を埋めてああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!と叫んだ
何もかも消えろと思った
山下にメールの返信を送ることはなかった
そこで俺は考えた
なんでこうなったのか、根本的な原因は何だったのか
答えは簡単に出た
俺が2択を間違えたせいだ
俺が山下と付き合っていれば、彼女の気持ちを拒絶しなければ、小村は山下と喧嘩せずに済んだだろう
見送りの朝、小村が内心ではどれだけ山下に会いたかったか、笑顔で見送りたかったか、考えると頭がくらくらした
山下の方も、遠距離ではあるが俺という恋人がいれば、変な男になびく必要もなかっただろう
今思うと、山下の方もストレスと環境の変化でおかしくなっていたのだと思う
山下の気持ち勝手に決めつけんじゃねーよ気持ち悪いな
DQN意外と良いやつかも知れねーだろ
やっぱりまともな女の子は高校くらいで食い散らかされていくんだなぁ
この後過去を変えるために跳んだんだよね…
俺は、その時点まではっきり言ってナルシストだった
無口で引っ込み思案で、自分から何かすることはほとんどないくせに、心のどこかで自分は特別な人間だと思っていた
テストでは勉強しなくても9割取れたし、性格も優しくていい方だと思っていたし、顔も悪くはないらしい
基本的に誰からも愛されるし、愛されてしかるべき人間だと思っていた
そんな俺は、この失恋をきっかけに果てしない自己嫌悪に陥った
何でこうなったのか、こうならざるを得なかったのか、こうしないためにはどうすべきだったか、それを半年以上ずっと考え続けていた
考えれば考えるほど、全部が自分のせいで、自分の弱さと臆病のせいだという結論が出続けた
真面目すぎ
やがて中3になった
俺は相変わらず物静かなガキだったが、自己嫌悪まみれという点だけが1年前と違った
小村との心理的絶交状態は、やがて時間が解決してくれた
普通に会話したり遊んだり、前と同じような友人関係に戻った
少しばかりのわだかまりがないと言ったら嘘になるのだけど
だけど、小村が元通りになったなんていうのはやはり嘘だったのかも知れない
あんなに調子のいい奴だった小村が、吹部の先輩たちから嫌われ始めたのはこの頃だ
後藤先輩曰く、
「敬語使わなかったり、やりすぎで笑えないようなことしてくるんだよねアイツ」
とのこと
想像でしかないが、小村の中でもなにがしかの闇が暴れ始めていたのだと今は思う
また、これも後から分かる話だが、この頃の小村は吹部の女友達ほぼ全員に告白を繰り返していた
全員から振られるあたりが目も当てられないが、そんな裏の事情は知らずに俺は相変わらず独りよがりな自己嫌悪に包まれていた
>>148
中3になったのに吹奏楽の先輩から嫌われはじめたのはこの頃っておかしくね??
>>150
本当だ
勢いで書いてるから初歩的な記憶違いしたわすまん
中2の終わりごろから嫌われ始めて、そのまま嫌われっぱなしで3年生になってしまったのが本当
ちなみにこの頃、小村は同級生たちからも気持ち悪がられ始めてた
やがて中学生活も終わりを迎える
高校どこに行く?と話していた時の、小村の言葉が印象に残っている
「大学に行くと、俺らが就職する頃ってオリンピックの終わりごろだろ?
オリンピックの後は不景気になるから、俺は工業高校に行ってそのまま就職する」
一方の俺は、何も考えず近所の進学校に行こうと思っていた
こういうところが実に小村らしいなあ、と思った
高校
俺と小村は高校が分かれたため、疎遠になった
山下とはそもそも連絡を取っていない
俺は高校でも吹奏楽部に入り、人並みに彼女作ったり、友人と暴れて生徒指導室にぶち込まれたりした
3年後、俺は無事に国立大学に進学した
時を同じくして、小村が工業系の会社に就職したと聞いた
大学に入って、俺は作曲家になろうと思い始めてた
中学の頃から趣味でやってた音楽を本気で深めようと思った
大学は全然音楽関係ないとこに入っちゃったけども
風のうわさでは、小村もばっちり会社員になって稼いでいるらしかった
うちの県は工業が盛んで、その辺の職種は収入もかなりいい
小村らしい賢い選択をしたんだと思った
2019年の8月20日
家のリビングで電話を取った父親が、すごい形相で俺に言った
「小村くん、亡くなったってよ」
葬式は明日だと伝えられた
突然のことで、小村なんて名前を聞くのもかなり久しぶりだったから、悲しみは湧かなかった
ただ驚きが胸を満たして、いてもたってもいられなくなった
俺は中学の吹部のライングループを数年ぶりに動かした
通夜に行くと、さながら同窓会のようになっていた
中学の吹部の連中がたくさんいた
低音パートの先輩や、後輩も数人いた
会社の上司と思しき人々もたくさんいた
だが、高校の友人らしい人は1人もいなかった
見知った同級生と、スーツ姿のおじさんで会場は埋め尽くされていた
想像力豊かなクソ童貞だなと思ってくれればいいけど、俺は想像してしまった
小村は高校で一人も友人を作れなかったんじゃないだろうか
彼が行った工業高校はめちゃくちゃ偏差値の低い高校だったのだが、小村はかなり頭がいい
首席で入学して、そのまま生徒会長を務めたと葬式で聞いた
そう言うと聞こえは良いが、要するに入る高校のレベルを間違えてしまったということじゃないか
もともと気難し屋の側面もあった彼のことだ、教養のない人間に囲まれて浮いている彼の姿は容易に想像できた
工業高校は女子がほとんどいない環境になる
中2で壮絶な失恋を経験する前から、小村が実は惚れっぽい性格だったのを俺は知っている
彼に口説かれた女は金森だけじゃない
通夜の会場で、吹部の女が冗談で
「まるで小村被害者の会みたいだ」
と言ったくらい、吹部の女はほとんど小村に手を出されていた
とはいえ、小村がいかに性根はまじめな男だったのかも俺は知っている
多分、壮絶な失恋を経て、その後大量の女に手を出そうとして拒否されて、彼も自分のことが嫌いになったんじゃないだろうか
それで工業高校という環境に身を置こうと決めたのではないか、と僕は思った
小村のTwitterを彼の死後に発見した
「中2の頃が俺の頂点だった」
とか、
「俺は青春の残像を追って生きるだけなんだなあ」
とか、
「死にたい」
とかいったことが書かれていた
葬式の間中、俺は少しも泣けなかった
ずっと考えていた
俺もあの失恋以来、ものを考えすぎる癖がついてしまったからだ
普段吸わないタバコを馬鹿みたいに吸って、フラフラになって、ふいに故人のアルバムに挟まった卒業式の写真を見て、はじめて泣いた
俺と小村が2人で写っていたからだ
親より先に死んだ子の葬式ってマジで地獄だから同級生が茶化すような会話できる雰囲気じゃないんだよなぁ
>>198
地獄だったよ
父親は完全に覇気を失って抜け殻だった
母親は気丈に振舞ってたけど、翌日出棺の瞬間に泣き崩れて見てられなかった
山下は葬式に来なかったの?
>>201
その話をする
小村の死を、俺は山下に伝えなきゃならないと思った
一応連絡先だけは知っていたので、数年ぶりになるラインを送った
当たり前だけどだいぶショックを受けていた
山下は東京の大学に通っていて、地元からは遠いので流石に葬式には来られなかったが、そのうち俺と会って話そうということになった
山下との再会の話は、正直この一連の話からは逸れるけど、希望があったら話す
>>206
話せ
>>206
まあ言うてみ
>>209
>>215
そんじゃ話す
俺が東京旅行に行った折、千歳烏山のドトールで山下と会った
めちゃくちゃに緊張した
俺にとって山下は、多分初恋の人と言っていい存在だったし、それ以前の恋が全部恋じゃなかったと思えるほど本当に好きだったから
それにもちろん、強烈な思い出と後悔に結びついてる人でもあるし
同級生の葬式マジで地獄だったな
大学のサークル仲間が亡くなった時は本当につらかった
お母さんが家に来て息子さんの話聞かせてくれって泣き崩れててさ
親より先に死ぬもんじゃねえわ
まあ長々と書いたけど、これで一応話は終わりだよ
中2の時に俺が山下と付き合ってたら、小村は死なずに済んだんじゃないかと俺は思う
反実仮想に意味なんてないけど、まあみんな人生が分岐するような2択は後悔がないように選べよ
>>217
メールの中の謎の文章は
みんなに嫌われてたってことが葬式で分かったってことなのか?
随分前から知っていたのでは??
>>219
あの文章は、吹部の人たちに片っ端から告白して全部振られたことを言ってるんだと俺は思った
小村が吹部の人から嫌われかけてたことは、当時はぼんやりとしか気づいてなかった
ちゃんと話に聞いたのは葬式の時
>>224
多分本当に間違えた分岐点は、卓球部を選ばなかったことだろうな
小村的には誰か知らないヤツの物になるくらいなら本命の親友とくっつけるのが苦汁の選択の中では気持ちの面で一番マシだったのかもしれない
結局小村は自殺したの?
>>220
自殺です!とは言われてないけど、そうだと思う
遺族の様子とか、遺体とか見ればなんとなくわかる
>>225
そうか
サンクス
遺体って顔ぐらししか見えないだろ
電車にでもダイブしてたのか?
>>228
首だよ
首の化粧が厚いんだよ
血色も化粧でごまかしてあるしね
>>230
そんなバレバレの事はしないと思うで
俺の連れも事故死した子と電車に飛び込んで自殺した子いたけどわからんくらい綺麗にされてたわ
山下と会うのは本当に久しぶりだったから、俺は山下の顔なんかほとんど忘れていた
声も分からない
しかし、不思議と駅のホームから出てくる人影を見たときに、意外なほどすぐにわかった
声も姿も身長も全てが懐かしかった
髪は茶色くなっていたけど、山下はちゃんと山下だった
それから8時間も山下と話した
俺は、正直山下と会うのが怖かった
キモいけど、山下は俺の理想の女の子として中2の頃から止まった時の中にいたから
山下の顔や声やエピソードは覚えていないくせに、すごくいい女の子だったことだけ覚えている
時を経て変わってしまった山下を見たら、あるいは同じように変わってしまった俺を見られたら、その理想がはじけ飛んでしまう気がした
(俺は高校でいろいろあって、今では全く引っ込み思案じゃないうるさい人間になったから)
でも、実際に会って話したら話が合う合う
無効には彼氏がいたし、俺にも彼女がいるけど、そういう次元じゃないところで気が合っていたんだということを、俺は中2ぶりに思い出した
俺も山下も、間違いなく中2の頃とは全くの別人になってたけど、それでも心を通わせることができた
尊いなと思った
>それから8時間も山下と話した
いやそうはならんやろ
>>243
真昼間から夜まで
夜は鳥貴族で飲んだよ
ただ、そんな会話の中で小村の後ろ暗いエピソードを1つ聞いた
高校生の頃、1度小村が山下に会いに来たことがあったらしい
山下の彼氏はあのときのDQNか
>>247
ちがう
普通の会社員らしい
セ●クスした?
>>248
してねえ
高校生の頃となると、中2からは何年か経っていて、時間が洗い流してくれるものもあったんだと思う
小村と山下は、スタバかどっかで会って普通に楽しく昔語りをしたらしい
飲み物を頼むとき、小村は
「いいよいいよ、俺がおごるから」
と紳士的なことを言って注文をした
だが、届いた飲み物は1つだけ
「一緒に飲もう?」
と小村は言って、1つのストローで山下は小村と同じものを飲まされた
スマホでやたらと写真も撮られ、かなり怖かったという
>>256
小村もう壊れてんじゃねえか…
>>256
ちょっとキチってるな。精神病んでたかも
東京まで来た友達をわざわざ千歳烏山なんかまで来させるかね山下
>>263
千歳烏山の友達の家に泊まってた
小村のやったことは素直にゴミだと思った
だが、高校生の頃すでに小村はおかしくなってたのかも知れんな、とは思った
いったい彼は今後の将来をどう描いていたのか
このまま就職して、ずっと賃金を稼ぎ続けて、恋も花もなく死ぬ、という未来が見えちゃって、それで死んだのかなと考えた
>>267
会社はどうだったのか聞いてないの?
>>269
うまく行ってたとしか聞いてない
真面目に働いて新車買って、職場の近くに引っ越して一人暮らし始めた矢先
>>275
一人暮らしが寂しくて耐えられなかったんとちゃうかな
そこでもし連れがいれば…から無限ループしてしまったんだろうな
>>1の選択は全くと言っていいほど関係なく小村が職場で嫌な事があって自殺しただけな気がする
>>270
まあその可能性もあるけどね
結局死者は語ってくれないから、生きてる人間の解釈次第だよ
今後俺の中でも考えは変わるかも知れない
まあそんな話もしたけども、俺はとにかく山下がちゃんとした大人になっていたのが嬉しかった
俺の中に巣食ってた中2の時の幻影を破壊して、それでもなお人間同士として会話ができたことに感動した
今思うと感動しすぎて俺だいぶキモかったかもしれない
ま、とか言いつつやっぱり少し寂しさもあったので、山下と別れた後にスーパーで缶ビール買ってぐっと飲みほした
近所のアパートの屋上に勝手に上がって、その日はちょうど中天に月が浮かんでたから、それを見ながら少し泣いた
単に山下が諦められなかったって話だろ
>>1と山下が付き合ってもたいして変わらん
選択とかどうでも良くて>>1がもっと気にかけてれば死んでいなかったのかもしれんが
あの時この時思う事はたくさんあるけど結果は変わらなかったかもしれん
友人の自殺は本当に謎だ
マジで朝になっちまったよ
長々と自分語りに付き合ってくれてありがとう
勢いで書いてたから無駄な部分も多かったと思う
最後に後日談を言っとくと、葬式の次の日に鎮魂歌を作曲して、後日仏壇に供えました
面白かった
1乙
強いて言えば高校時代を知ってる奴の話も聞きたかったな
流石に同じ工業高校に進んだ同級生も居たろ
>>292
いないんだよなあ
いちおつ
青春は精算しとかないと後々引き摺るよな